ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問

本日8月2日、25日のアラガン社ブレストインプラント発売中止を受け、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本美容外科学会(JSAPS)より正式発表ありました。

下記お読みください!


納得、いかないに点や疑問点はありますが・・・現時点での正確な見解です。

それぞれの立場で、現状を正確に把握して対処してくださいね!

「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問」

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

日本形成外科学会日本乳癌学会

日本美容外科学会(JSAPS)

Q1:ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫 (以下 BIA-ALCL と略示)とは何ですか?

A: BIA-ALCL は、乳房再建術または乳房増大(豊胸)術でブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)を挿入された方に発症する可能性がある発症頻度の低い T 細胞性非ホジキンリンパ腫の型の一つです。乳腺組織から発生する癌(乳腺悪性腫瘍)とは異なるもので、インプラント周囲に形成される被膜組織から発生する増殖性の腫瘍です。ALCL は、他の人工物(整形外科用インプラント、歯科インプラント、注入ポート等)埋入症例でも報告されています。多くの場合、手術後に一定期間経過したにもかかわらずインプラント周囲に増生する貯留液や被膜の腫瘤形成などにより乳房が腫大する兆候がみられます。他の ALCL と異なり緩徐に進行し、手術後の適切な定期健診において確認された場合においては、外科的治療などにより十分治癒が見込めます。しかし、治療開始が遅延したことで化学療法や放射線治療が必要となる場合や、非常に稀ではありますが死亡に至った症例も報告されています。

Q2:BIA-ALCL が疑われる場合、どのような症状がみられますか?

A:一般的には、乳房インプラントを挿入してから一定期間(平均 9 年)経過してから乳房が腫大する(乳房が大きくなる)兆候がみられます。その他、乳房や脇にしこりを触知する、乳房の変形や潰瘍形成がみられる、痛みを自覚するといった症状がみられることもあります。ほとんどの場合、画像検査でインプラント周囲に持続的な液体貯留が確認されます。

Q3:BIA-ALCL が発症しやすくなる要因はありますか?

A:インプラントの表面性状が発症リスクに関与している可能性があります。これまでのところ、インプラント外殻の性状がテクスチャード(表面がざらざらした性状)タイプの使用例での発症が報告されている一方で、スムースタイプ(表面がつるつるした性状)のインプラントしか埋入したこ

とのない症例での報告はありません。しかしながら、これまでの情報ではスムースタイプでの発症 を完全には否定できるわけではありません。現時点で、免疫反応、遺伝的要因、インプラントを取 り囲む生体膜への細菌感染の関与も疑われていますが、はっきりとしたことは分かっておりません。

Q4:BIA-ALCL は知っておくべき情報ですか?

A:すべての乳房インプラント手術を受ける前に正しい情報を知っておくことが必要です。BIA-ALCL を発症することは稀ですが、正しい情報を知らなかったために、治療が遅延してしまう可能性があります。これにより、負担の大きい治療が必要となるケースや、場合によっては重篤な結果に至ることも考えられます。BIA-ALCL を疑う典型的な症状や手術後の定期診察の重要性を理解することは特に不可欠といえます。

Q5:インプラントの性状の違いが発症率に影響しますか?

A:BIA-ALCL は、テクスチャードタイプのインプラントで発生しやすいようです。現在、日本の保険診療内で使用することが許されている乳房インプラントはこれに含まれます(ただし現在は販売中止となっており使用できません。)。今日までに、スムースタイプのインプラントしか埋入したことがない症例で BIA-ALCL の発生は報告されていません。

Q6:どのような患者においてリスクが高くなりますか?

A:公表されたデータおよび研究に基づく BIA-ALCL の現在の危険因子は以下のように考えられております。

1. インプラントの表面タイプ

テクスチャードタイプのインプラントに発症しやすい傾向がみられます。

2. 遺伝的素因

ある特定の遺伝子の変異が関与しているとする報告があります。また人種間で発症率が異なることも示唆されています。

3. 炎症、感染、アレルギー反応

何らかの理由によって炎症、感染、アレルギー反応を生じやすい方に関与しやすいという見方がありますが、これについては確かなことはほとんど分かっておりません。

4. 経過時間

BIA-ALCL は多くの場合、インプラントの留置から一定期間(平均 9 年間)経てから発生することが分かっています。

Q7: BIA-ALCL の発生頻度を教えてください

A:現在発表されている BIA-ALCL の発生頻度は、インプラントの出荷数から、1/3817-30000 とされています。米国における生涯罹患リスクは 1/30,000 と推察され、オーストラリアおよびニュージーランドからは、1/1,000-1/10,000 と報告されております。これまでにアジアでの報告は日本の 1

例を含めた 3 例のみで、この違いは、地理的・遺伝的傾向を示している可能性が示唆されています。Q8:BIA-ALCL の可能性が疑われた場合、どのような検査や処置が必要ですか?

A:BIA-ALCL であることを否定するために以下の流れで画像検査や穿刺細胞診、あるいは外科処置を行うことが勧められます。まずはインプラント周囲の貯留液と被膜の腫瘤形成の有無を超音波検査(もしくはその他の画像診断)を使用して検索します。貯留液が確認されたら、医療用針を用いてこれを採取し、含有細胞の特殊検査を行います。腫瘤形成がみられた場合は、特殊な針を用いるか、外科的にその組織を採取し病理組織診断を行います。万が一 BIA-ALCL と診断された場合は、病気の広がりを検索する画像検査を行ったうえで、被膜を含むインプラントの外科的全切除、あるいはその他の補助療法を用いて治療を行います。

Q9:BIA-ALCL の治療と予後について教えてください。

A:多くの場合は、挿入されているインプラントを、インプラント周囲に形成される被膜組織とともに切除します。周囲にしこりがあれば一緒に切除します。BIA-ALCL の予後は腫瘍のステージによって変わります。ステージとは腫瘍の進行度を分類したもので、以下のようにⅠからⅣまで分かれます。

ステージⅠ 腫瘍が被膜内にとどまるもの

ステージII 被膜を超えて広がる、またはリンパ節転移を認めるものステージIII 被膜を超えて広がり、かつリンパ節転移を認めるものステージIV 遠隔転移を認めるもの

ステージⅠで腫瘍が完全切除された場合、再発は少なく、治癒が期待できます。一方完全切除できなかった場合やステージⅡ以上では、化学療法や放射線治療が必要になり、この場合の予後は進行度に応じて不良となります。全ステージを含めた5年生存率は 91%と報告されています。

Q10:BIA-ALCL に関する国内外の動向を教えてください。

A:世界で多くの症例で使用されてきたテクスチャード(表面がざらざらした)タイプのインプラントが徐々に BIA-ALCL の発症に関与していることが明らかになってきました。日本で使用している

アラガン社のテクスチャードタイプのインプラントおよびティッシュエキスパンダーもこれにもれず、他社の製品と比較してBIA-ALCL の発生リスクが6 倍になるなどのFDA(アメリカ食品薬品局)の情報から、2019 年 7 月 24 日に FDA の要請により自主回収、販売停止となりました。このため日本においても同社の該当製品が使用できない状況となっております。ただしスムース(表面がつるつるした)タイプのインプラントについてはBIA-ALCL 発症との関与を疑うような証拠は見つかっておらず、これを使用できます。

Q11: BIA-ALCL による死亡例はありますか?

A: 現時点において FDA は、世界で 573 例の BIA-ALCL 発症が疑われ、そのうち死亡例が 33 例あったと公表しています。日本では死亡例はありません。

Q12:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、インプラントを予防的に除去すべきですか?

A:症状のない患者さんに対するインプラントの予防的除去は現時点では推奨されていません。世界的にみても、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出を現時点で推奨している国はありません。

Q13:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、BIA-ALCL の検査を受けるべきですか?

A:症状のない患者さんでは、BIA-ALCL を発見するための確立された検査方法はありません。手術を受けた医療機関で定期的に診察を受けてください。一方、症状、特に乳房の腫れやしこりがある患者さんはすぐに主治医に相談してください。

Q14:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、どのような間隔で医療機関に行けばいいですか?

A:手術を受けた医療機関で主治医の指示のもと定期的に診察や検査を受けてください。乳房インプラントを用いた乳房再建を施行した患者さまは、10 年以上の経過観察を行い、定期的な診察とともに約 2 年に1回は MRI や超音波検査を施行することが推奨されます。

Q15:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、何か気をつけることはありますか?

A: BIA-ALCL の発症に関しては、早期発見が最も重要なカギとなります。よって 10 年以降も引き続き、入念な自己検診と医療機関の定期検診を継続してください。また、乳房に違和感あるいは異常を感じた場合は、迷わず外来主治医に相談することをお勧めします。

内容に関するお問い合わせは日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局

(e-mail: jopbs-office01@shunkosha.com) までご連絡ください。


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